留学先からの便り/川口 健太 理学研究科博士後期課程 2年次(留学時)

 ホーチミンシティへ到着して3週間が経ちました.PEACE留学生として昨年度に続いて2度目の留学です.1年ぶりにホーチミンシティへ戻って来ましたが,昨年度にはなかった建物が次々と建設され,歩道橋が整備されるなど,急速に経済発展を遂げている様子が伺えます.
 昨年に引き続き,研究室では岩石学的手法を用いて,大陸の衝突テクトニクス,大陸地殻の進化過程の解明を行なっています.またベトナム中部の内陸部に位置するKontum省を中心に,8日間に渡るフールドワーク(地質調査)に赴きました.Kontum省が位置するベトナム中部は,インドシナ地塊と南中国地塊と呼ばれる2つの大陸地殻がはるか昔のペルム紀からトリアス紀(およそ2億5千万年前)に衝突した地域(衝突帯)だろうと考えられています.我々はこの大陸地殻どうしの衝突現象の際に生じる様々な地質現象を解明しようとしています.大陸同士の衝突現象を解明することは地球の進化過程を解明するために非常に重要な課題です.フィールド調査では様々な岩石試料を採取しました.今後は,持ち帰った岩石試料に残された情報を丹念に調べ,大陸衝突の際に生じた地質現象を解明していく計画です.ベトナムをはじめアジア大陸は日本列島とは異なる進化プロセスを経て形成されたと考えられており,この留学中に行ったフィールド調査は日本では決して経験できない大変貴重なものになりました.帰国後も留学先の研究室との共同研究を続けていく予定です.

フィールド調査中の写真

広大な風景を背景にした集合写真