留学先からの便り/木下 望 総合科学研究科博士後期課程1年次(留学時)

ミャンマーはヤンゴンから、ミンガラーバ(こんにちは)!
ヤンゴンは色彩豊かな街です。年間を通して咲き乱れる色とりどりの花々、木々の緑。市場に盛られた色鮮やかな果物や野菜。歴史的建造物の白亜にレンガ色。抜けるような青空とたなびく雲に、そびえ立つ黄金のパゴダ。そして行き交う人々の民族衣装!
ヤンゴンでは多くの人々が、巻きスカート状の民族衣装「ロンジー」を着て暮らしています。ヤンゴン大学では基本的に教職員・学生とも学内でのロンジー着用が求められていますが、その着こなしは多様です。色、柄、デザイン、伝統にモダン。カラフルで個性的な装いは、見る者の眼も楽しませてくれます。また実際に着てみると、肌を覆うものの風通しがよく、長さ調節もきくこの衣類が、灼熱の暑季とバケツを返したような雨季に見舞われるヤンゴンの気候にもぴったりであることがわかります。
すっかりロンジーに魅せられている私ですが、留学生活最初の失敗もロンジーでした。干しかたにルールがあることを知らなかったのです。私が暮らす学生寮の廊下には、頭上と腰高の2箇所に物干し竿が設置されています。しかし当時はまだ工事中で高い位置の物干ししかなく、そこに日本と同じ感覚ですべて干したのが失敗でした…。なんでも、男性が女性の下腹部やそれに触れるものの下をくぐると、その男性の仏教的な徳が減ると考えるそう。そこで女性の衣類に限り、腰から下に身につけるものは低い位置に干す習慣があるとのこと。現地の方からすれば、女性のボトムスを上に掛けるなどとんでもないことだったのです。干して1時間と経たぬうちに寮監督の先生が飛んで注意しにいらっしゃいました。
着て洗って干す、そんな日常的なことにも「異文化」が詰まっている。そう実感させられた一件でした。未知の考え方に触れて、自分の「常識」が崩されていく。新鮮さには事欠かない留学先での生活です。

元日のシュウェダゴン・パゴダ。寄進の品が並んでいます。

食品市場の様子。市は毎日、街のそこここに立ちます。雨でも営業。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロンジー姿の女子学生たち。比較的シンプルな装い。大ぶりな柄行きや刺繍も珍しくありません。

私が暮らしている女子学生寮。入居後半年ほどでようやく完成しました。